工事成功コラム集

外壁タイルの種類~いろいろな分類のご紹介

外壁タイルの種類~様々な分類のご紹介
マンションやビルの外壁には、高級感のあるタイル張り仕上げが主流となっています。
一口にタイルと言っても、大きさ、種類、質感などにより種類も豊富で、最近では大判タイルや薄型の商品も出回っており実に様々です。
今回は一見分かりにくい外壁タイルの種類を、代表的な5つの分類で詳しくご紹介いたします。
外壁タイルの代表的な5つの分類
タイルには様々な種類があり、分類方法によって色々な呼び方があります。

【1】素地(きじ)による分類
【2】大きさによる分類
【3】施釉の有無による分類
【4】形状による呼び方の違い
【5】目地割りによる貼り方の違い
タイル工事の様子
【1】素地(きじ)による分類素地による分類は「磁器質」「せっ器質」「陶器質」に分けられ、3つの分類基準は以下のようになります。

素地による分類

分類 焼成温度 特徴 自然吸水率
磁器質
タイル
1200℃以上で
焼かれたもの
素地が緻密で硬く、吸水性が低い。耐久性に優れている。素地に透明性がある。 1%以下
せっ器質
タイル
1200℃前後で
焼かれたもの
磁器ほど透明性はないが、焼き締まっていて吸水性は中程度。 5%以下
陶器質
タイル
1000℃以上で
焼かれたもの
素地は多孔質で吸水性が高く、外装よりは内装向き。 22%以下


上の表のように吸水率の基準がありますが、タイルの製造技術が発達したことにより、吸水率で「磁器質」「せっ器質」「陶器質」を判別することが難しくなっています。
そこで2008年に日本産業規格(JIS)の改正があり、下の表のように新たに分類が定められました。吸水率の指標が以前は「自然吸水率」でしたが、「煮沸法または真空法」による試験に基づく「強制吸水率」に変更となりました。

JIS A 5209(2008)による区分

区分 強制吸水率
Ⅰ類 3%以下
Ⅱ類 10%以下
Ⅲ類 50%以下


その後さらに2014年にJISの改正が行われ(JIS A5209)、現在は「Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ類」の表記と成形方法による表記「押出し成形=A」「プレス成形=B」とを組み合わせた分類へ変更になっています。
JISによる改正はありますが、「磁器質/せっき質/陶器質」の呼び名は現場では長く浸透してきていますので、「Ⅰ類≒磁器質」「Ⅱ類≒せっき質」「Ⅲ類≒陶器質」としておおまかに把握しておくと良いでしょう。

JIS A 5209(2014)による区分

分類
(強制吸水率)
Ⅰ類
(3%以下)
Ⅱ類
(10%以下)
Ⅲ類
(50%以下)
押出し成形(A) AⅠ AⅡ AⅢ
プレス成形(B) BⅠ BⅡ BⅢ

 

【2】大きさによる分類
タイルは大きさによって分類されますが、寸法によって呼び名が決まっています。
50角タイル
50角タイル
45二丁タイル
45二丁タイル
45二丁/45三丁/45四丁タイル
45二丁/45三丁/45四丁タイル
小口平タイル
小口平タイル
二丁掛タイル
二丁掛タイル

大きさによる分類

分類 実寸 備考 1㎡につき必要な枚数
50角タイル 45mm×45mm 目地を合わせると50mm×50mmとなる。 400枚
45二丁(よんごにちょう)タイル 45mm×95mm 50角タイル2枚を並べた大きさ。
近年はこのサイズが主流。
200枚
45三丁(よんごさんちょう)タイル 45mm×145mm 50角タイル3枚を並べた大きさ。 134枚
45四丁(よんごよんちょう)タイル 45mm×195mm 50角タイル4枚を並べた大きさ。 100枚
小口平(こぐちひら)タイル 108mm×60mm レンガの小口の大きさからとったもの。 135枚
(目地幅5,6mmの場合)
二丁掛(にちょうがけ)タイル 227mm×60mm レンガの側面の大きさからとったもの。 67枚
(目地幅5,6mmの場合)


その他にも、100角、150角、大判タイル、各メーカー独自のサイズ展開のあるタイルなど、様々な大きさのタイルが登場しています。

【3】釉薬(ゆうやく)の有無による分類
タイル表面に釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を施しているかどうかによる分類です。
施釉タイル
施釉タイル
無釉タイル
無釉タイル
ラスタータイル"
ラスタータイル

施釉の有無による分類

分類 特徴
施釉(せゆう)
タイル
タイル表面に釉薬をかけたもの。
耐水性が備わり、汚れや傷がつきにくくなる。
無釉(むゆう)
タイル
タイル表面に釉薬を施してないもの。
ざらざらとした素地の質感が活かされている。
ラスタータイル 金属の釉薬をタイルに焼き付け、真珠や金属のような色彩や光沢を発するようにしたタイル。
独特の光沢や質感から、高級感のある雰囲気を演出することができる。汚れが目立ちやすく、外壁洗浄の際は専用の洗剤が必要。

 

【4】形状による呼び方の違い
平(ひら)
平(ひら)
マグサ
マグサ
曲がり
曲がり
ボックス
ボックス
形状による呼び方の違い
タイルを貼る場所によって形状が異なるものがあり、呼び方も決まっています。

呼称 特徴
平物(ひらもの)/平(ひら) 平らな形状のタイル。
一般的な形状で、平面で用いる。
役物
(やくもの)
マグサ L型に長辺を2枚分接着してあるタイル。
建物の出隅部に用いる。
曲がり L型に短辺で接着してあるタイル。
建物の出隅部に用いる。
ボックス 平物を3枚接着してあるタイル。
建物の出隅角部に用いる。

 

【5】目地割りによる貼り方の違い
タイルの貼り方には様々なパターンがあり、目地割りにより分類されます。
通し目地
通し目地
馬目地
馬目地
フランス張り
フランス張り
イギリス張り
イギリス張り
やはず張り
やはず張り
四半目地
四半目地

目地割りによる分類

分類 特徴
芋目地(いもめじ)
/通し目地
目地が縦横通る張り付け方。タイル自体縦横まっすぐに並びます。通常は水平方向が長辺になるように貼りますが、垂直方向に長辺を貼る張り方を「縦芋目地張り」と呼びます。
馬目地(うまめじ)
/馬踏み目地
/馬乗り目地
/破れ目地
横目地は一直線で通し、縦目地をタイル幅の半分ほどずらす張り付け方。
垂直方向に長辺を貼る張り方を「縦馬踏み目地」「縦馬乗り目地」と呼びます。
フランス張り レンガのフランス積みから採用したもの。
横一列を二丁掛、小口、二丁掛の順番で張っていきます。
イギリス張り レンガのイギリス積みから採用したもの。
一列に二丁掛、次の列に小口タイルの順序で張っていきます。
やはず張り/網代張り タイルを交互に斜めに張り付ける方法です。
「やはず」とは矢の先にある弦を掛けるV字部分のことで、タイルがV字に見える仕上がりになります。
四半目地
(しはんめじ)
張り壁面の垂直(床面の場合は水平)に対して、全てのタイルを45度斜めに貼る張り方です。正方形のタイルで45度斜めに目地が通ってくるため、互い違いに貼る「やはず張り/網代張り」とは異なります。

 

ご紹介した分類以外にも、使用場所や施工方法による分類もあります。
外壁だけでなく、床や水廻り、屋内壁など、使用可能な場所が異なります。メーカーのカタログ等でよく確認することが大切です。
タイルに詳しい業者に相談するようにしましょう。

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