マンション・ビルの大規模修繕工事・改修工事でタイルの必要枚数が増える理由とは?
外壁のタイル補修工事で追加費用が発生する原因。タイルの必要枚数が増えるのはなぜ?
マンションやビルの外壁は、タイル仕上げのものが多くあります。マンション・ビルの大規模修繕工事・改修工事で、よく目につくのは外壁のタイル補修工事ではないでしょうか。その外壁タイル補修工事は、事前の見積りに加え、タイルの必要枚数が増えることで追加費用が発生することがあります。なぜタイルの必要枚数が増えるのでしょうか?
マンション・ビルの大規模修繕工事・改修工事における外壁タイル補修工事でも、見積り作成時は目視や手の届く範囲での打診での壁面チェックとなります。
いざ着工となり、壁面全体の打診調査を行い、修繕・改修箇所のマーキングを行います。
いざ着工となり、壁面全体の打診調査を行い、修繕・改修箇所のマーキングを行います。
目視では問題が発見できない箇所も、打診調査でタイルの浮きが確認されることがよくあります。
下の写真は、タイルが下地モルタルが無い直貼り工法で張られていた例です。
コンクリート躯体に下地モルタルが塗られずに、タイルに張付けモルタルの塗っただけのタイル直貼りで施行されており、その張付けモルタルの界面でタイル浮きが発生していました。
コンクリート躯体に下地モルタルが塗られずに、タイルに張付けモルタルの塗っただけのタイル直貼りで施行されており、その張付けモルタルの界面でタイル浮きが発生していました。
コンクリートを固める際、型枠というコンクリートを流し込む枠があり、コンクリートが固まった後で、型枠を解体しやすいように剥離剤を型枠に塗ります。その剥離剤が残ったままの状態や、つるつるの状態の躯体のまま、タイルなどの仕上げ材を施工すると、その剥離剤やつるつるの状態の躯体が悪さをして、下の写真のような面での大量のタイル浮きが発生します。
このような場合、サンウォールでは躯体面の目荒し等を行い、タイル張付けを行っています。この一工程がないと、新たにタイルを張付けても、じきにタイルが浮いてきてしまいます。
タイル直貼りは、工期短縮、コスト削減のために2000年前後に多用された工法ですが、時間の経過とともにタイルの浮きが目立って多く現れてきています。
上の写真はコンクリート躯体が平滑なので、目荒し後、接着剤張りで修繕を進めました。
上の写真はコンクリート躯体が平滑なので、目荒し後、接着剤張りで修繕を進めました。
エポキシ樹脂注入によるタイル浮きの外壁修繕工事の例
壁面の打診調査で、タイルの浮き代(タイルが浮いている隙間)に、エポキシ樹脂を注入することで充填可能と判断できた場合は、タイル張替を行わずに修繕可能です。この場合はタイルの必要枚数は増えません。タイル張替え工事に較べ、タイルを斫(はつ)る際の騒音は粉じん、産業廃棄物も発生しないため、環境にも優しい工事になります。
打診調査で修繕範囲を確認、マーキングを行い、工事を開始します。エポキシ樹脂を注入する穴をあけ(穿孔)、内部に粉じんが混入しないように丁寧に清掃します。
エポキシ樹脂を注入する際は、打診確認を行いつつ、過不足のないよう慎重に進めます。エポキシ樹脂を注入後は、タイル浮き部をコンクリート躯体に固定するアンカーピンを挿入します。
エポキシ樹脂がしっかり硬化するまで養生し、最後に目地を埋めて施工完了です。
タイル張り替えによるタイル浮きの外壁修繕工事の例
壁面の打診調査で、タイルの浮き代(タイルが浮いている隙間)が大きく、広範囲がまとまって浮いているような重度の場合は、タイル張替工事が必要となり、タイルの必要枚数が増えます。
打診調査で修繕範囲を確認、マーキングを行い、工事を開始します。張り替える部分の外周目地に沿って切れ込みを入れ、張り替えが必要なタイルを剥がしていきます。
張り替えが必要なタイルを全て剥がした後は、コンクリート躯体の清掃を行います。この後は接着剤塗りに進む予定でしたが、コンクリート躯体の表面がつるつるだったため、目荒し後、下地調整の工程を追加しました。目荒しして、カチオン下地で食い付きを良くし、モルタルで付け送り(厚さ、段差調整)をして、下地の上厚を均等にします。
下地調整が終わると、張り替えるタイルを張るための接着剤塗りに進みます。クシ目ゴテを用いてしっかりクシ目を立て、接着剤を均一に塗っていきます。タイルを張り付ける時にクシ目を均し、タイルを張っていきます。タイルを張り終わったら、目地材を詰めます。
目地材をタイル表面から拭き取り、乾燥させて、施行は終了、完成です。
タイル張りで大切なのは下地です
マンション・ビルの外壁は、面積が広く、高さもありますので、安全性には注意が必要です。外壁のタイルでタイル浮きが発生すると、タイル剥落の危険が高まります。
築15年目に他業者さんで1回目の大規模修繕工事を行い、その後、築30年目にサンウォールで2回目の大規模修繕工事を行った建物で、1回目の大規模修繕工事で張替えたタイルが浮いている事例が多々あります。これでは張替えた意味がなくなってしまいます。
そんな外壁のタイルの施工で大切なのは、躯体の表面、下地です。
築15年目に他業者さんで1回目の大規模修繕工事を行い、その後、築30年目にサンウォールで2回目の大規模修繕工事を行った建物で、1回目の大規模修繕工事で張替えたタイルが浮いている事例が多々あります。これでは張替えた意味がなくなってしまいます。
そんな外壁のタイルの施工で大切なのは、躯体の表面、下地です。
目視で確認できるタイルの浮きはすぐにご相談ください!
例え低い位置のタイル浮きであっても、危険であることに変わりはありません。ビルオーナー様の義務として、タイルの浮き、欠け、ひびなどを見つけたら、すぐに信頼できる業者に相談しましょう。