工事成功コラム集

ビル・マンションの大規模修繕工事で知っておきたい、特注製作タイル、特注焼きとは?

マンション・ビルの大規模修繕工事の意外な落とし穴、外壁タイルの製作期間とは
街中で、外壁タイルの張り替えられた部分が目立っているビルやマンションに気付いたことはありませんか?
次の写真は、外壁タイルの修繕工事の際に、新築時に使用したタイルが残っておらず、予算や工期の関係で新築時のタイル近似品を使うことで修繕した部分が目立ってしまったものです。
新築時に使用したタイルが残っていればそれを使用するため、当然きれいに仕上がります。新築時に使用したタイルがない場合、「近似品」or「特注焼き」での対応となります。
今回は、「特注焼き」について触れていきます。
新築時に使用したタイルは、大規模修繕工事を行う頃には出回っていないことも多く、同じタイルを用意するためには特注焼きでの対応が必要となります。
特注焼きには製作期間がかかるため、既存のタイルを使用する場合とは異なり、製作期間を見越した対応が必要となります。
外壁タイル 張り替えたタイルが目立つ例
特注製作タイルと類似品タイルの違い
特注製作タイル
既存の外壁タイルの色や柄に合わせて特注で製作するタイルのこと。
納期が通常よりかかります。

類似品タイル
タイルメーカーが常時在庫を持っているタイルのこと。
もし国内在庫品を必要数量分確保できればすぐに手配可能ですが、5年~10年程度で廃番となることがほとんどです。そのため15年ほどで行う大規模修繕工事のタイミングでは、既存の建物と同じタイルはほぼないものと考えた方が良いでしょう。

外壁タイル
特注製作タイルができるまでの流れと納期、発注時期
① 既存の建物から、タイルを数枚サンプルとして剥がし取る
② サンプルを元に見本焼きを製作する
③ 見本焼きと既存建物とを現地で確認し、管理組合・オーナー等の承認を得る
④ 本焼きを行う
⑤ 現地へ納品
カレンダー
納期は、見本焼きを製作するまで(①~②)に1ヶ月程度かかります。
例えば見本焼きを2回行った場合は、⑤ の納品までトータルで約4ヶ月程度必要となります。
建物規模や、見本焼きを焼く回数にもよりますが、遅くとも着工の2ヶ月前にはタイルの発注を行わなければ間に合いません。
特注製作タイルの必要数量
それでは数量はどれだけ発注すれば良いでしょうか。

特注製作タイルの場合、最低製作面積が25㎡のため、それ以上の数量を発注する必要があります。

25㎡は、マンション外壁で使われることの多い45二丁タイルで5,000枚にあたります。
このとき注意したいのは、同じ数量であれば分割して発注するよりまとめて発注する方が金額を押さえられるという点です。
タイルの金額は、窯で焼く回数に大きく影響されます。
例えば、同じ100㎡の注文であっても、2回に分けると100万円、1回にまとめれば80万円になるのです。
数量が足りず後から追加で注文すると費用も納期もかかってしまいますので、ある程度のゆとりをもった数量を発注することが大切です。
これらのことから、新築時のタイルがあるかないかで大規模修繕工事のコストも大きく変わってきますし、まだらなタイルで建物の美観に影響が出て資産価値が下がることにもなりかねません。
ビルやマンションのオーナー様は、一度自分の建物に新築時のタイルがあるかを確認しておくべきです。
新たに購入を検討される方も、このことを頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。

特注製作タイルを使った外壁修繕工事については